「"作業"と"仕事"は違う。"仕事"をしろ。」
外資系企業に勤めて早くも半年が過ぎました。
外資系と言っても様々な企業がありますが、今働いている企業は
- 一人に与えられる顧客の数/裁量権が他の日経企業よりも多い
- 残業時間が制限されている*1
という特徴があります。これはつまり
「趣味のアニメ鑑賞の時間が捻出できない!!!」
事を意味します。これは一大事。
アニメが見れない人生なんて、人生じゃない。
QOL*2を向上させるには、生産性を向上させなければならない。
では、どうすれば生産性を向上させる事ができるのだろう?
ここ最近考えていた内容を、記事にまとめてみました。
- 「"作業"と"仕事"は違う。"仕事"をしろ。」
- 外資系企業のワークフローを、図式化
- 生産性の向上とは?
- ①Vision (目標、やりたい事の具体化)
- ②Thinking (頭を使う仕事)
- Output
- ③Routine Work (作業)
- 思考の時間>作業の時間を目指す
外資系企業のワークフローを、図式化
タイトルには「外資系で学んだ〜」とありますが
実際は、外資系企業で実際に行なっているフローを
私なりに分解、図式化したものになります。非常にシンプルになりました。
言いたいことは以下の通り。
「目標決めて、頭使わない作業はルーチン化・自動化させて、できる限りアイデアを出すことに時間をかけようね」
以上を説明するために、3つの大枠に分けて考えます。
①Vision
②Thinking
③Routine Work
生産性の向上とは?
ちょっと待てよ。そもそも"生産性の向上"って何を意味するんだ?
ここでは、組織から与えられたMissionや、達成したいVisionを、できる限り少ないコスト*3で達成できるようになること、とします。
①Vision (目標、やりたい事の具体化)
「一年の計は元旦にあり」という言葉があるように、長期的なプロジェクトを生産性を保ちながら成功させるには、計画を立てることが重要です。
Visionが明確に定まっていないと、必要なコストを何に費やせばよいかが判断できず、無駄な投資を行ってしまい、生産性が低下します。
目標の具体化
何を目標として、それをいつまでに達成させるのか、できる限り具体的に書き起こします。
例「1年後、A製品の売上を前年比120%増にする。」
目標の正当性
そして、目標に対する正当性を評価しておく必要があります。
上記の例で「1年後にA製品の売上を前年比120%」という目標値がありますが、この目標設定が市場成長率とあまりにもかけ離れていれば、計画は変更すべきでしょう。
多くのコストをかけて目標を達成させようとする事は可能かもしれませんが、それならば市場成長率の高いB製品の売上を上げた方が効率的ですよね。*4
目標に対する熱意
「A製品よりも、B製品を世の中に広めたい。」という熱い気持ちは案外重要。
「A製品の前年比売上120%向上」よりも「B製品の売上前年比120%向上」の方が気持ちが動くのであれば、後者をを目標とすべきです。*5
目標のレビュー
計画を定め、プロジェクトが動き始めたら、定期的にGAPが発生していないかをレビューします。観測期間は1年間、1ヶ月、1週間がいいでしょう。*6
具体的に「A製品の売上を前年比120%向上させる」という目標があったのに対し、1ヶ月経過した段階で累計前年比80%の場合、単月比40%のGAPが発生しています。この場合、生じたGAPを埋めるためのNextActionを考える必要があります*7このレビュー作業はプロジェクトが終わるまで続けます。
②Thinking (頭を使う仕事)
①で定めた具体的なビジョンに向けてどのようなアクションを行うかを 、考えます。*8
頭を使う仕事を、さらに細分化し、InputとOutputの2側面から考えます。
Input
アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない
諸君の当面の課題のための資料、一般的資料の貯蔵をたえず豊富にすること
Theory 様々な理論
物事を考える際に、その思考を短縮化してくれるものが、理論です。
社会科学、人文科学、自然科学、様々な学問分野において、一般法則として抽象化されたモデルが存在します。そのモデルを知っていることで、ありとあらゆる発想の時間を短縮してくれます。*10
また、5W1Hといわれる様々なフレームワークも、思考を短縮化するツールとなりますので、できる限り多くインプットすべきです。
Logic 物事を繋ぎ、理解を深める(説明する)
思考の結果を、できるかぎり一貫した、飛躍の少ない、理解しやすい形で表現する。そこに論理が働く。
論理力とは、思考力のような新しいものを生み出す力ではなく、考えをきちんと伝える力であり、伝えられたものをきちんと受け取る力にほかならない。*11
上記引用の通り、論理とは思考を伝える道具です。
思考を伝える道具としての「論理」は「読む」「書く」「聞く」「話す」のインプット・アウトプットに必要な力となります。
この論理力が低ければ、思考がまとまらない、または相手に伝わらないという問題が生まれ、生産性が低下します。
Information 判断に必要な情報
理論やフレームワークだけでなく、日常から得るふとした情報が思考を促進させる事もよくあります。それは行列のできたラーメン屋さんを観察している時、もしくは今朝の新聞の一面かもしれません。
どのような情報が思考のスピードを早めるかの判断は難しいですが、できる限り、質の良い情報をできる限り多くInputする必要があります。*12
Output
Feedback 他者の判断を仰ぐ
自ら考えたアイデアをより良い物にするには、それを他人の目から判断してもらう必要があります。できる限りあなたとは違う視点を持った人にアイデアを話して、フィードバックを受けましょう。*13
Set a deadline 期限を決める
どうしてもやらなくてはならないとわかっていることをやるときは、驚くほどの馬鹿力が出るものだ。*14
考えることには、時間の制限がありませんので、自分で納期を設定する必要があります。例えば「『A製品の売上を前年比120%にする』ためのアイデアを1週間後までに10個書き出す」という感じです。
③Routine Work (作業)
作業とは、Visionを達成するために行わなければならないけれど、思考を必要とせず、一定の間隔でルーティン化されている業務の事です。
内容は主にGTDの内容なので、ご存知の方は飛ばしてください。
Write down To-Do やるべき事を書き出す
頭の中で、作業しなければならないものを全て書き出します。
「やらなくてはならない事」をピックアップするのは思った以上に重労働。
しかし、やらなくてはならない事が頭の片隅に残っていると、集中力が低下します。
Timing 作業にかかる時間を測定する
繰り返し行う作業の場合、どのぐらいの時間がかかるのかを事前に測定しておきます。
後述のスケジューリング、優先順位を付ける際に必要です。
Scheduling スケジュールを組む
毎日・毎月やらなければならない作業は先にスケジュールへ組み込みます。
また、納期が決まっていて動かせない物もスケジュールへ記載します。
Prioritizing 優先順位を付ける
書き出したタスク、作業にかかる時間、納期から、タスクに優先順位をつけます。
また、3分以内に終わらせるタスクは、最優先して終わらせます。
Outsourcing 誰かに頼む
誰かに頼む事ができる作業は、できる限り外注します。
ただし、注文がうまく進んでいるかのリマインド・チェックは必要です。
また、人だけでなくIT技術を用いた自動化などもここに含まれます。
例えばExcelでマクロ組んだりすれば、圧倒的に生産性は向上します。
Skill 能力や慣れによる時間の短縮化
その他、慣れによって生産性が向上する作業もあります。マニュアル化など言語化することで"慣れ"が促進するようであれば、マニュアル化を行ないます。また、単純なその人のスキルにより生産性が向上する事があります。例えば、ショートカットキーを使いこなす人と、マウスだけを用いる人では、生産性に差が生まれるでしょう。
思考の時間>作業の時間を目指す
簡潔に生産性向上の流れを3つの大枠から説明しました。
「目標決めて、頭使わない作業はルーチン化・自動化させて、できる限りアイデアを出すことに時間をかけようね」
以上が本記事で伝えたい内容でした。
いざまとめてみると、当たり前の事を書いているように思うけど、これを仕事上で完璧にこなせれば誰も苦労しないわな。
あと、このフレームワークは仕事だけじゃなくて、プライベートにも使えると思うんで、この記事を読んでいる方の生産性向上につながれば幸いです。
次回記事は参考文献でもまとめてみようかな。
*1:というより残業代が出ない,裁量労働制
*2:Quality of Life の略。人生の質。
*3:お金はもちろん、ヒト・モノ時間も含む
*4:無謀な目標を立てるとコンコルドのようにサンクコストを発生させてしまう。
*5:ビジネスマンである以上、会社からの命令に従わざるを得ない時もあるけど・・・
*6:四半期、2週間など、期間に決まりはないです。
*7:この考える作業は②のThinkingとなります。
*8:よくよく考えると①の目標設定も②に含まれる
*9:ジェームズ・W・ヤング『アイデアの作り方』、TBSブリタニカ、1988
*10:おおよそ、いいアイデアというのは世に溢れている。車輪の再発明を参照
*11:野矢茂樹『論理トレーニング』、産業図書、2006
*12:質の良い情報とは人によって異なる。日経新聞の方が質が良いという人もいれば、2chまとめの情報の方が役に立つ人もいる。
*13:他人にアイデアを持ちかけると、非難されアイデアが消える事もあり得る。思いついたら実践に移す方が良い事もある
*14:ジャック・フォスター『アイデアのヒント』CCCメディアハウス、2003