- はじめに
- テーブルホップとは
- 依頼主とのやりとり
- 紹介文の編集
- 挨拶文を考える
- 会場のスタッフと仲良くなっておく
- テーブルホップにあったマジック
- 服装含む外見を整える
- マジック以外の話のネタを用意しておく
- リマインダーを送る
- まとめ
はじめに
マジックを趣味でやっていると、「マジックをやって欲しい」と言われる機会があるかもしれません。けれど、易々と依頼を受け入れてしまうと、いざ演じる時に困ることが多いです。
そこで、マジックサークルで依頼を受けていた経験より、スムーズに依頼を進める方法を、最低限紹介します。依頼を受ける前の事前準備、そして実際の演技と演技後の流れを、2つの記事にまとめました。
テーブルホップスタイルの依頼を想定していますが、サロン・パーラースタイルにも応用できると思います。
テーブルホップとは
テーブルホップという言葉の意味について説明します。
テーブルはそのまま物を置いたりするようなテーブルで
ホップは「ひょいと飛ぶ、飛び越える」という意味があります。
つまり、テーブルを転々としながらマジックを演じるスタイルです。
しかし、依頼によってはテーブルがない場所(立食パーティーなど)もあります。
なので、複数(2〜10人)単位の人々にマジックを見せ、それが終わったらまた違う集まりに見せにいくスタイルと考えるといいと思います。
依頼主とのやりとり
以下、依頼を受ける前に最低限聞いておきたい内容です。
1.日時
依頼主が希望する日にち、そして時間と、こちらの都合の良い日時を確認します。この際、曜日、月、午前or午後の確認を忘れないようにしましょう。また、マジシャンに与えられた演技時間も確認します。
たとえば
✖︎「 21日の9時からよろしくお願いしますね。」
という文章は誤解を招きかねません。
◯「12月21日(金)の21:00~21:30の30分間でよろしくお願いします。」
具体的に示すと、わかりやすくていいですよね。
2.場所
マジックを演じる会場について確認します。
- テーブルと椅子の数とその配置
- 当日の照明はどうなっているか
- ざわついている環境か、バックBGMがうるさくないか
- マイクを使うのであればスピーカーの位置
マイクはできれば使わず、使うならばワイヤレスマイクがおすすめ。また、会場の所在地についても聞いておきましょう。演技をする前に一度下見ができれば万全です。それが無理そうなら、写真を送ってもらうよう依頼主にお願いしてみましょう。
3.イベントのコンセプトについて
依頼主が、あなたに何を求めているのかを聞いておきましょう。会話が弾んでいない人を盛り上げて欲しい、イベントの最初に手品をやって会場を温めて欲しいなど、様々な要望があると思います。
4.お客さんについて
演じるお客さんについての情報を確認します。
年齢はどの層が多いのか、男性が多いのか女性が多いのか、著名な方が来るかどうか、どういった職業の方たちなのか
手品を観客に合わせて構成するならば、この情報が多いほど手品の質に影響します。
5.服装について
イベントによってはカジュアルがよい時もあれば、フォーマルの必要がある場合もあります。きれば依頼主に、コンセプトにあった服装の提案をしておくのが無難です。
また、控え室の有無を確認しておいた方がよいです。控え室がなければ、髪型を整えたり、ネタのセッティング、着替えなどを、全てトイレで行う必要があります。
6.報酬について
報酬金額について確認しておきます。
後々のトラブルを避けるためにも、曖昧に設定するのではなく、明確にしておきましょう。
「当日の雰囲気が良ければ皆様から最低金額+お気持ちの値段をいただいております」
といったように、最低金額に成果報酬を求めるのはちょっとしたテクニック。また、支払い方法についても確認しておきましょう。銀行振込、領収書の有無などが必要になる場合があります。
以上のような内容を依頼主にまとめて送ってもらいます。言わずもがな、依頼主とのやり取りにも最善の注意を図ります。メールでやり取りを行うのであれば最低限メールのマナー (件名の書き方、連絡先の記載など)、実際に会って打ち合わせを行うのであれば、言葉遣いや服装などです。
紹介文の編集
依頼主があなたのことをよく知っていても、実際に現場で手品を見せる人たちの多くは、あなたのことを知らない可能性が高いです。そこで、どのようなマジシャンがイベントに来るのかを、紹介してもらう必要があります。
イベント前のチラシに載せてもらう文章や、当日に司会の方が実際に話す紹介文などは、できればこちらから提案しましょう。
その際、以下の内容に注意するとよいです。
- 最も輝かしい功績が述べられていること。
- 短く、わかりやすいこと。
- 今日のために特別に来たということ。
- 登場の前に拍手をもらうこと。
輝かしい功績を示すのは、観客の期待値を高めるためです。
観客に「そんなにすごい人が来てるの!?」と思ってもらうことが目的です。
紹介が長さは1分以内が目安です。長ければダレます。
この日のために特別なマジックを用意していると伝えます。
この言葉があると観客は特別感を味わうことができます。
登場の前に拍手を貰うことで、会場に入りやすくなります。
そして、これらの紹介文を司会者に事前に読んでもらいましょう。
強調してほしい箇所、間を空けてほしい箇所があれば司会者の方に伝えます。
マジシャンの登場と司会者の紹介のタイミングにも注意しましょう。
紹介の途中に登場したり、紹介が終わっても中々登場しないと恥ずかしいです。
挨拶文を考える
紹介を受けた後、すぐにテーブルを回ることもありますが、一言前で何か挨拶を求められることが多いです。この時にアドリブの挨拶なんかにならないように、事前に挨拶を考えておきましょう。
- 観客全員に目を配り、笑顔を贈ること。
- そのイベントの内容に触れた挨拶であること。
- インパクトの大きいマジックを演じること。
- 短く、わかりやすいこと。
- ユーモアでウィットの効いたセリフであること。
紹介を受けて登場したマジシャンは、一度会場全体を見回し、観客に目を配りながら笑顔を贈ります。観客の警戒心を和らげ、さらに自分へ注目させる効果があります。
また、挨拶はそのイベント内容に即したものが良いです。できれば、1分程度で終わる簡単なマジックを演じましょう。プロダクション系などです。「あんなすごいマジックが近くで見れるんだ!見たい!」と観客の期待値を上げるのです。
挨拶は短く、かつユーモアに富んだセリフがいいです。ちょっとした諺であったり、言葉遊び、笑いを誘う間であったりアクセントを加えるだけで、後にテーブルに入りやすくなります。
会場のスタッフと仲良くなっておく
会場にはお客さんが入る30分前には到着し、テーブルの回る順を考えておきます。その際、ウェイターさんはじめ、会場のスタッフさん及び依頼主に一度
「今日はよろしくお願いします」と笑顔で挨拶をしておきましょう。
後々トラブルが起こった時、彼らが助けてくれるかもしれません。
例えば、マジックの途中ではなく、ちょうど終わるタイミングで料理を運んできてくれたりします。また、マジックの構成を考える時にウェイターさんに手伝ってもらうこともできます。
テーブルホップにあったマジック
テーブルホップスタイルで使いやすいマジックについて説明します。
主なポイントは以下の3つです。
- 短くわかりやすいものであること。
- テーブルを使うのは最小限であること。
- リセットが容易であること。
テーブルホップマジックは観客から見てもらうマジックではなく、こちらから見せにいくマジックです。なので、そこまでマジックに興味のない観客もいます。そのため、マジックは黄2~3分と短め、かつ現象がビジュアルでわかりやすいものが良いです。
また、観客のテーブルをあまり使わない方がいいです。使っもほんの少しのスペースを借りるだけ。
セットに時間のかかる手品はやめておきましょう。1つのテーブルが終わるごとにマジックをセットする時間は無いと考えた方がよいです。
服装含む外見を整える
マジシャンは人に見られる職業なので、見た目にはこだわりましょう。
服装について、スーツならばサイズ感、形が自分にあっているかどうか、ネクタイの有無。シャツの襟がシワになっていないか、袖が汚れていないかなどもチェック。パリッととした、清潔感のあるものを選びましょう。できる限り帽子は避けたほうが無難です。顔を鏡でよく見てから出発しましょう。目ヤニや歯に海苔がついていないように。口臭も注意です。依頼前には匂いのある食事および飲み物(特にコーヒー)は控えましょう。眼鏡をかける人は眼鏡が曇っていないか、またサングラスといったレンズの色が濃いものはできるだけ控えましょう。次に、手はマジシャンの中でも最も見られる位置であり、お客さんの手に直に触れる所でもあります。何か怪我をしていないか、爪は綺麗に切って、かつ適度に磨くようにしましょう。最後に、靴も磨いでおきましょう。お洒落は足元からと言います。
マジック以外の話のネタを用意しておく
マジックの演技が終わっても、なかなか帰れなくなって、世間話が始まることがあります。できる限り観客に喋ってもらうべきですが、こちらからも話のネタを用意しておくとよいでしょう。
観客の情報を事前に聞いておければ、好みに合わせて話を合わせることができると思います。
リマインダーを送る
イベントの3日前までには、依頼主に最終確認の連絡を入れておきます。急な変更があるかもしれません。
まとめ
以上が、テーブルホップマジックの依頼を受ける際の事前準備となります。
今一度その内容をまとめておきます。
- 依頼主とのやりとりを確実に、丁寧に行う。
- 紹介文を作成する。
- 挨拶文を作成する。
- 会場スタッフと仲良くなる。
- テーブルホップにあったマジックをつくる。
- 話のネタを用意する。
- リマインダーを送る。
次回の記事は、実際にテーブルホップを行う上での注意点とちょっとしたテクニックをまとめます。
それでは最後までご覧いただきありがとうございました。
テーブルホップに限らず、ショーを開くにおいて、エンターテインメントを演じるために必要な内容を非常に細かくまとめてあります。この記事もこの本から多く参考にさせてもらいました。